集中力の維持に眠気の抑制・回避は欠かせません。
このサイトでも睡眠や昼寝の重要性にしばしば触れています。
一方で睡眠と覚醒の原理については実は詳細なことがわかっていません。
そんな中、日本の筑波大学の研究ではマウスの実験により睡眠の原因を特定できる可能性が示唆されています。
この記事ではこの研究について紹介します。
「眠たい」マウスから見つかったタンパク質のリン酸化
研究を行なった、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長を務める柳沢正史氏は睡眠学研究の第一人者です。
柳沢氏は覚醒状態を維持する脳内物質「オレキシン」の発見者でもあります。
オレキシンの発見を機に睡眠の研究に本格的に取り組むようになったようです。
柳沢氏は睡眠に異常を起こす遺伝子を調べるため、遺伝子をランダムに操作して、睡眠時間が長いマウスを作り出しました。実験の仕方が非常に面白いですね(ちなみにマウスが選ばれた理由は実験でよく使われるショウジョウバエなどと違い脳波が測定できるメリットがあるからだそうです)。
この「眠たいマウス」を調べたところ、タンパク質をリン酸化させる酵素を作る遺伝子の変異が確認されました。
これをもとに脳内の多く、80種類ものタンパク質が「リン酸化」していることがわかりました。ここに眠気の正体があるのではないかと柳沢氏は推測しています。
論文の共著者である劉清華氏は80種類のタンパク質は『容疑者リスト』であると語っており、今後は重要度の違いを含めてこれらのさらに詳しい選別の必要があるようです。
タンパク質のリン酸化ってなに?
眠気の原因が「タンパク質のリン酸化」にあると言われると、悪い現象のように捕えられそうですが、リン酸化は一方で人体においてプラスの側面をも担っているようです。
細胞から細胞へ情報の伝達をする際に、体を構成するタンパク質ではリン酸化が起こり、構造が変わって「活性化」します。これによりタンパク質が情報を伝達できるようになるそうです。
単純にリン酸化するとタンパク質が悪くなるというわけではないようですね。
まとめ
この記事では睡眠のメカニズム解明の可能性を示す研究について紹介しました。
今後の研究で覚醒のメカニズムや眠気が起きる原因がわかるようになればウトウトして集中できないというよくある悩みが解消される日も来るかもしれませんね。今後の研究の進展が楽しみです。