頭の活性化に効果的とされ認知症予防でも注目される脳トレ。
ケンブリッジ大学の研究によれば、自身の開発した脳トレアプリをもとに脳トレは集中力の向上に有効であるとしています。
はたして「脳トレ」で集中力を鍛えることはできるのでしょうか?
この記事では、脳トレと集中力の関係について研究をもとに考察します。
脳トレとは
いきなり雑談的な話ですが、脳トレとはそもそもなんでしょうか。
説明しなくとも、脳トレという言葉から大体の人は間違い探しや簡単なパズルなどを含むクイズやゲームのことだと認識できると思います。
この言葉が定着したのはどうやら2005年に発売されて以来ヒットしている「脳を鍛える大人のDSトレーニング」の略称がもとになっているようです。
これにより「脳トレ」という言葉が定着して、現在もゲームやクイズの総称として親しまれています。
集中力を高めるアプリ??”Decoder”とは
本題に戻して脳トレの集中力への効果を報告している研究を見ていきます。
この研究は開発されたゲームアプリ「Decoder(デコーダー)」の集中力への効果を検証したものです。
実験ではDecoderをプレイする群、ビンゴをプレイする群、何もしない群に分けて実験後のそれぞれの視覚的注意の差を比較しました。結果としてDecoderのプレイによって注意・集中力が大幅に改善されたことが示されています。
DecoderはアプリデベロッパーPeakに事業譲渡しており、現在は「Peak(ピーク)-脳トレ」という名前でアプリストアからダウンロードできます。
実際にPeakをインストールしてみましたが、シンプルでかっこいいインターフェースが特徴的です。
また集中力だけでなく、言語力・問題解決能力・記憶力などトレーニングが豊富に用意されています。
プレイは一定時間が経過するまでできない仕様になっており、やり過ぎることはなさそうです。
無料のアプリですが、無料で使えるのは40個ほどのゲームのうち3つのみで、集中力を鍛えるゲームについては、PRO版へのアップグレードが必要な仕様になっています。
脳トレと集中力
それでは脳トレは集中力に効果的と言えるのでしょうか?
脳トレに限った話ではないですが、これらの「集中力UP効果」にうたわれる「集中力」の定義は統一されているとは言えません。
そのため一概には効果ありと言い切れないというのが結論になります。
また、このDecoderは、効果の実証のために用いられているCANTABで行われるテストとの内容の類似性が指摘されており、単純な学習効果でスコアが上がったという見方もあります。
どちらかというと宣伝で用いられる「集中力UP」に関しては、慎重な立場をとったほうが賢明だと思います。
またゲームで発揮される集中力が、そのまま日々集中力を生かしたい、仕事や勉強で生かされるかという点も疑問が残ります。これはしばしば「ゾーン」などの概念で引き合いに出されるスポーツについても同様です。
まとめ
この記事ではケンブリッジ大学の研究をもとに脳トレと集中力に与える効果について考えました。
集中力が上がるという時の集中力がなにを指しているか、それは自分が求めている集中力と関係があるかについては常に意識しておきたいポイントになります。
脳トレの集中力UP効果については懐疑的な見方を示しましたが、自分の体調や状態の指標として用いたり、作業に入る前の集中のスイッチ、ルーティーンとして用いることは一定の効果があると思います。
また、実際のところ教育や介護の現場でも取り入れられていることなどを鑑みると効果が期待できる部分もあるとは思います。
集中力UPというよりは自身の集中力を維持・向上させる活動のお供として使うのがいいのかなと思います。