作業に集中力を持って臨むにはモチベーションの維持が不可欠です。
そしてモチベーションを保つには目標設定を行うのが有効です。
目標の重要性は認識しつつも、目標を立てるのが面倒くさい、目標の立て方が分からないという理由で目標設定を行わず日々の作業を何となくこなしてしまっている人も多いと思います。
この記事では代表的な目標設定方法SMARTに触れ、より効果の高い目標設定についても紹介していきます。
目標設定の超有名フレームワークSMART
目標設定の方法としてしばしば挙げられるものに「SMART(の法則)」があります。
SMARTは以下の5つの単語の頭文字をとったもので、これらに即した目標設定が好ましいとされています。
- Specific(特定の領域に絞っている(目標))
- Measurable(進捗の指標が評価、少なくとも推定できる(目標))
- Assignable(誰が行うか特定できる(目標))
- Realistic(所与のリソースで達成可能である(目標))
- Time-related(達成の期限が特定できる(目標))
SMARTはGeorge T. Dran氏が1981年に発表した「There’s a S.M.A.R.T way to write management’s goals and objectives(マネジメントの目標と目的を書く「スマートな」方法がある)」の中で登場したものがもとになっているようです。
この論文自体も、1968年に「Toward a theory of task motivation and incentives(タスクのモチベーションと動機づけの理論に向けて)」を著した目標設定理論のパイオニアであるEdwin A. Locke氏の理論が参考になっているようです。
上記の5つはDran氏のものにならいましたがRをRelated((ビジネス上のゴールと)関連がある)とするなど後世にいくつかの解釈が加えられて使用されているようです。
ちなみにフレームワークとして紹介されていますが、SMARTはの後にも紹介するように目標設定の手法とは言えないのでフレームワークとは言えないというのが筆者の意見です。
SMARTは目標設定の「方法論」ではない?
目標設定の手法として有名なSMARTについて触れましたが、これを目標設定の方法論と言われると些か違和感を感じます。
というのもSMARTは立てた目標が適切かの基準にはなりますが目標の立て方についての示唆を与えないからです。
「SMARTに沿って目標を立ててみましょう!さあどうぞ!」と言われても手が動かないと思います。
SMARTは個人で立てる目標設定の手法としては適さない?
Dran氏の論考のタイトルが「マネジメントの」という付帯状況がついているようにSMARTはあくまでビジネスにおける定量的な目標にこそ使える指標と言えます。
しかし勉強や個人でのプロジェクトなど、マネジメントを前提としない個人プロジェクトを行っている人も多くいます。
目標設定の手法として金科玉条のごとくSMART理論は使われますが、個人の目標含め、全てに対応できるとは考えない方がいいでしょう。
実際Dran氏も全てのマネジメントに当てはまるわけではないと注記しています。
特に個人の目標設定に関して言えばSMARTは、立てた目標が適切かどうかの基準の一つとして使用するくらいが適当かと思います。
個人の目標設定の仕方は?
それでは実際に目標設定をするにはどうすればいいのでしょうか?
目標設定には大きく以下の2つのステップがあると思います。
- 対象となる目標(大きなゴール)を特定する
- 目標を達成するための小さな目標に分解する
大きな目標を設定する
まずは自分が向かう方向性を決定します。
できれば日々行うあらゆる作業や行動が、この方向性に沿ったものになっているのが好ましいです。
受験における志望校の合格などの分かりやすいゴールがある人はここはスキップできるでしょう。
大きなゴールが定まらない人はまずは自分の棚卸から始めてみましょう。
自分の現状を把握するために以下のことを書き出してみましょう。
- 日々の生活で行っていること、時間を使っていること
- 直近で達成したいこと、将来的に達成したいこと
- 達成を妨げていること
ここでは大小に関わらず全て書き出すのが重要です。この方法はブレインダンプとも呼ばれる方法の一部です。
書き出したら達成したいことの中から目標となるものを決めます。短期間であっても達成のためのモチベーションが続くもの、今の自分にとって本当に重要だと思えるものを選ぶようにしましょう。
悩んでしまう場合にはとりあえず一つに絞ってみる勇気も必要です。
小さな目標に分解する
大きな目標が定まったらそのために取り組むべきことを考えてみます。
目標設定においても特にここは難しいので、うまくいかなくても気にせず気楽に取り組みましょう。
例えば以下のようなプロセスを踏みます。
「【目標】目標の志望校に合格する→【事実】志望校の合格最低点はだいたい合計200点→【小目標1】国語で60点をとる→【事実】国語の問題は小説が1問、随筆が1問→【目標】得意な小説のうち比較的簡単な漢字と選択問題で満点を取る・・・」
基本的にはこのように逆算的に事実とそこから必要となる行動や指標を目標として落とし込んでいくと良いでしょう。
ここがうまくいかない場合にはまた目標設定に戻ります。
先にも書いたようにこの落とし込んでいくプロセスは簡単ではありませんし正解もありません。
ただこうしたプロセスに時間をじっくりかけることで目標設定後の作業の集中力、今後の目標設定力に大きな効果が得られるはずです。
まとめ
この記事では目標設定について取り上げ、SMARTの理論とその欠点、目標設定のプロセスについて紹介しました。
ここで書いたことは個人の主観も含みますが、目標設定の参考になれば幸いです。