梅雨も明けて日差しが強くなってくる頃、我が家では毎年祖母がテキパキとお盆の準備をしていました。
そんな祖母が亡くなってはじめてのお盆。
母も私も今まで祖母にまかせきりだったので分からないことばかり。
今さら「提灯っていつまで出しとくんだっけ?」なんて聞くのも恥ずかしくて困ってしまいしました。
そこでいつお盆のお供えや提灯の準備をはじめるのか。
片付けるのはいつなのかを説明します。
盆提灯を飾る期間
さあ準備をしようと思ってまず疑問に思ったのが盆提灯をいつ出すのか。
私は「お盆休みまでに出せばいいや」と先送りにして結局直前になって慌てて用意することになってしまいましたが、実際のところいつ出すのがよいのでしょう。
地域によって違いはありますが、お盆の月の始め頃から飾りだして、17日以降にしまうのが一般的です。
東京と一部の地域では7月15日を中心に、その他の地域では8月15日を中心にお盆としています。
なぜ1カ月も差があるのでしょうか?
一説には、明治時代に今まで使っていた「旧暦」から「新暦」へ移行し、お盆を7月としたと
ころ、地方の農村部では農作業の都合上お盆を営むどころではなかったためとされています。
それで農作業の影響を受けない都市部では新暦の7月15日。
その他の地域では月遅れの新暦8月15日となりました。
そしてなんと、沖縄では明治以前と変わらず旧暦の7月15日をお盆としています。
旧暦なので毎年日付が変わることになります。
私は地方に住んでいるので、お盆は日本全国当然に8月15日だと思っていました。
まさか3種類もあったなんて驚きです。
いつ提灯を灯すのか?
提灯を出す時期はわかったけれど、次はいつ提灯のあかりを灯すのか悩みました。
普通の提灯なら暗くなったらつけるものだけど、お盆の提灯はどうすればいいのか?その真相がこちらです。
まず、ご先祖様が迷わず帰ってこられるよう「迎え火」として13日の夕方から夜にかけて灯します。
お盆の期間中も夕方から夜の暗い時間帯に。
法事を行う際は昼間でも灯します。
そしてまた無事にあの世へ戻れるように「送り火」として16日の夕方から夜にかけて灯します。
また、家族の意向で昼夜問わず提灯を灯す場合もありますが、電球が熱を持ったりペットが引っかけて転倒させたりと危険です。
夜中に灯りを見る人がいないのなら消したほうが安全でしょう。
現在では、色鮮やかな絵柄が美しい盆提灯ですが、昔は家の前に火を焚いて「迎え火」「送り火」としていました。
江戸時代に入り、火だったのが提灯に変化しそしてお盆に提灯を飾るという風習が生まれたといわれています。
盆提灯の飾り方と片付け
今までお盆を取り仕切っていた祖母の他界でまたもや問題なのは提灯の飾り方です。
もう祖母には少し早めに帰ってきてもらって準備を手伝ってほしいと思いましたが、いずれ自分から子供へと繋いでいくことなのでしっかり覚えようと思いました。
絵柄の入った盆提灯は、供物を供える「精霊棚」の前、もしくは仏壇の前に飾ります。
精霊棚には花やキュウリとナスで作った馬や牛、季節の果物などをお供えします。
新盆・初盆と呼ばれる故人が亡くなって初めてのお盆には特別に白提灯を飾ります。
地域によっては戒名が書いてある物もありますがこの提灯はその年だけ使い、お盆が終わると処分するものです。
玄関やベランダ、窓際に吊るすか、スタンドタイプのものを仏壇の前に飾ります。
盆提灯も白提灯もお盆の終わった17日以降に片づけます。
盆提灯は毎年使うため火袋をはたき部品を綺麗に拭いて箱に入れて保管すればよいのですが、1度きりの白提灯は処分しなければなりません。
むやみに捨てたりできない物なので困ってしまいますよね。
もし可能ならお寺にお願いしてお焚き上げをしてもらえると一番ですが、自宅で処分するなら塩でお清めをした後、白い紙で包んでゴミに出すといいですよ。
提灯を用意したけど「提灯代」?これは何?
無事準備も終えて祖母の初盆法要を迎えたとき、親戚の方々から「提灯代」なるお金を頂きました。
「もしかして提灯1つじゃ足りなかった?!」と内心焦りましたが大丈夫。
これは昔からの習わしで、初盆には親戚や故人と親しかった人が提灯を贈るというもの。
提灯の数が多いほど故人が多くの人に慕われていたという証でしたが、今では住宅事情の関係もあって提灯そのものから提灯代に変えて、故人への気持ちを示すことが多くなってきているということでした。
提灯代へのお返しは特に必要は無く、法要に来ていただいた人には料理を振る舞うことでお返しとするところが多いようです。
我が家では品物でもお返ししましたがこの辺は個々のお宅の習慣によるところだと思います。
浄土真宗は盆提灯を飾らない!?
何とかご先祖様たちに帰ってきてもらえるよう準備をしてきましたが、母方の親戚に会ったとき衝撃的な話を聞きました。
親戚が言うには「うちは真宗だから誰も帰ってこないのよ」
なんと!!お盆に帰ってこない人達がいたんです。
浄土真宗では、亡くなった人は誰でも仏様の子として極楽浄土へ生まれ変わるということから、死者は幽霊になってこの世をさまよったりしません。
法要なども故人の供養のため行うのではなく、残された遺族が故人とのご縁をもって仏様の教えに心を傾けましょうという意味合いで行われます。
浄土真宗のご先祖様方は仏様になって極楽浄土にいるのでお盆になっても帰ってきません。
ですから仏壇に特別なお供えも「迎え火」や「送り火」の提灯を飾ることも本来ならありません。
親戚から頂いたりお盆の雰囲気で提灯を飾ったとしても、それは灯篭のひとつとして、ということになります。
この事を浄土真宗の友人に話したところ、友人もお盆にはご先祖様が帰ってくると思っていたので驚いていました。
「うちは誰も帰ってこないのか…なんか少し淋しくてつまらない」と残念そうにするのでちょっと申し訳ないことを言ってしまった気分になりました。
まとめ
1、 お盆の提灯を飾るのはお盆のある月の始め頃から16日まで
2、 提灯を灯すのは13日から16日の暗くなった時間帯(法事の時は昼間もつける)
3、 盆提灯・白提灯とも17日以降に片付けるが、白提灯は1度の使用で処分する
4、 提灯代をもらったらありがたく頂戴して心から感謝する
5、 浄土真宗は提灯を飾るか飾らないかは自由
知っているようで意外と知らないお盆の提灯の扱い方。
これで自分が準備するときも誰かに質問されても安心ですよ。
ずっと昔からご先祖様を想う気持ちを繋いできたこの文化を大切にしていきたいですね。