放置していたサボテンに小さなサボテンがたくさん付いていたり、サボテンの一部が節からぽろっと取れて驚いたことはありませんか?
それはサボテンの子株です。子株が付いているということは、サボテンが順調に大きく育ってきたということ。
他の植物たちと同じようにサボテンは種で増えますが、子株を育ててより手軽に増やすことができます。
この記事ではサボテンの子株の育て方について、子株の取り方や子株に根を出させるコツなどと併せて解説します。
サボテンの子株の育て方
サボテンの子株の育て方は、基本的に親株の育て方と同じです。
砂漠などのほとんど雨の降らない土地が原産のサボテンは、水はけの良い用土を好みます。サボテン専用土などの水はけの良い用土に植えましょう。
とはいえサボテンも植物なので、水と栄養がないと成長することができません。
サボテンは他の植物たちと違って、毎日水やりをする必要がありません。
また、サボテンの育成に必要不可欠なのが日光と風です。
インテリアグリーンとしても人気なサボテンは室内管理されているイメージがあるかもしれませんが、サボテンの原産地は日光がしっかり降り注ぐ場所です。日光が足りないとどんどん弱ってしまいます。
また、風通しの悪い場所に置いていると虫害や根腐れを起こしやすくなります。
室外管理がどうしても難しい場合や真冬は、できるだけ長く日の当たる暖かい窓辺で管理するようにします。このとき、サーキュレーターなどを用いて風通しを良くすると良いでしょう。
ここまでがサボテンの基本的な育て方ですが、サボテンの子株を育てるときは、さらに押さえるべきポイントが2つあります。
- 土の粒の大きさ
- 鉢のサイズと深さ
サボテンの用土は、水はけを良くするために用土の粒のサイズがある程度大きいもので配合されていることが多いです。こういった用土は通常の大きさのサボテンを育てるには最適な土ですが、子株を育てるにはちょっと水はけが良すぎてしまいます。
また、用土の粒が大きすぎると、根が短い子株は安定して植えにくく根を張りづらくなります。
子株は親株と比べて根も短く、水を吸い上げる量も少ないです。あまり大きく深い鉢に植えると、土が乾きにくくなって根腐れの原因になるので注意しましょう。
1号プラ鉢などは管理しやすく、子株が必要な水の量と用土の保水量のバランスが良いのでおすすめです。
また、盆栽用の豆鉢なども小さく浅めに作られています。オシャレに子株を育てたいときはそういった鉢を使用するのも良いですね。
サボテンの子株の取り方
サボテンの子株は、生育期にあたる春と秋に親株から取り外すようにしましょう。これは親株が子株を取り外す際に受ける傷やダメージを最低限に押さえ、回復しやすくするためです。
また、生育期に子株を取り外すことで子株が根を出しやすくなるというメリットもあります。
サボテンの子株は、アルコールか熱消毒した刃物で親株から切り取ります。このとき親株と子株のつなぎ目以外を傷つけてしまわないよう注意しましょう。
また、トゲに触らないよう指先に防護用ゴムが貼られている軍手やピンセットなどを使用すると安全です。
早ければ1週間、遅くとも2、3か月程で根が出てきます。
サボテンの子株の植え方
サボテンの子株の植え方は、根がある場合と根がない場合で少々方法が異なります。
根があるサボテンの子株の植え替え方法
根があるサボテンの植え替え方法は、基本的にサボテンの親株の植え方と同じです。
子株の植え替えに適した時期は生育期の直前~生育期前半です。
植え替え予定の子株は、植え替え数日~1週間ほど前から水やりを控えて水を切り、鉢から出しやすくしましょう。
親株は植え替えのときに古い根や傷んだ根を整理することが多いですが、子株の根は細く少ないことが多いので無理に根を整理する必要はありません。土も完全に落とさなくて大丈夫です。根鉢を軽くほぐす程度におさえましょう。
次に、水はけのよい新しい用土に植え替えます。
用土は、水はけのよいもの:保水・保肥性のあるもの=8:2位の割合のものを配合するか、サボテン専用土を使用すると良いでしょう。このとき、親株より粒の小さい土を使用すると植えやすくなりますよ。
また、植え替えの際にはトゲを触らないようにピンセットやゴム付き軍手を使用しましょう。
植え替えた直後の水やりはさけ、およそ1週間後に水やりを開始するようにします。
根が取れたサボテンの子株の植え替え方法
根のないサボテンの子株の植え替え方法には、発根をさせてから植え替える方法と、そのまま用土に植えつける2種類の方法があります。
発根させてから植え替える方法
まず、子株を発根させる台を用意します。
子株が風通しの良い状態で立てて固定できれば良いので、特別な道具は必要ありません。
小さめの空き箱などに板や割り箸を渡したものや、小さめのビンや漏斗などでも大丈夫です。
次に、根元を下にして台にセットします。早ければ1週間、遅くとも2、3か月程で根が出てきます。
根が出てきたら乾いた新しい用土に植え付け、数日~1週間後に水やりを開始します。
そのまま用土に植え付ける方法
あまりおすすめはしませんが、親株から切り離した子株や根が取れた子株をそのまま乾いた用土に植え付けることも可能です。
この方法の注意点は、切り口や根が取れてしまった際の傷口をしっかり乾燥させてから用土に植え付けることと、根が出るまではなるべく触らず動かさない!ということ。
水やり開始のタイミングも見極め辛いので、できれば発根が確認できてから用土に植えたほうが良いでしょう。
サボテンの植え替え方法については、下記の記事で詳しくご紹介しています。併せて参考にしてください。
水耕栽培でもサボテンの子株に根は出る?
水耕栽培でもサボテンの子株に根を出させることができます。
サボテンを水耕栽培に切り替える際は土を根から完全に落とす必要があり根を痛めるリスクが伴いますが、初めから根のない子株を水栽培すればそういったリスクがなくなります。
サボテンの子株の水耕栽培はある意味すぐれた栽培方法ともいえるでしょう。
サボテンを水栽培するときは、根元が完全に水に漬からないよう根の先に少し水が当たる位の水位を保って容器にセットする必要があります。
子株を水栽培で根出しさせるときは、子株の根元に水が触れないよう注意して容器にセットします。
子株は小さいので、水に落ちないように割り箸や紙などで支えを作って容器にセットすると良いでしょう。
成長期であれば2~3週間ほどで水に向かって根が出てきます。根が出てきたら、通常のサボテンの水栽培と同様に管理します。
サボテンの水耕栽培については、下記の記事でも詳しくご紹介しています。併せて参考にしてください。
放置でたくさん増えすぎたサボテンの子株はどうする?
サボテンを放置しすぎていつのまにか子株がたくさんついていた…。ということがあるかもしれません。
基本的に、子株が増えすぎてもさほど心配する必要はありません。
子株が親株から栄養分をもらっている関係で親株の成長が遅れることはありえますが、子株が原因で親株が枯れることは稀だからです。
逆に子株ができた端から切り取っていると、その傷が原因でかえって親株を痛めてしまう可能性もあります。
子株がたくさんできていても、次の成長期まで様子を見たほうが良いでしょう。
ですが、子株があることで親株の栄養が取られている事は事実です。
品種によっては、子株があることで親株の成長が大幅に遅れたり花が咲きにくくなったりするものもあります。
しっかり花を咲かせたい、親株を大きくしたいといった希望がある場合は、子株がある程度大きくなった時点で切り取るのも良いでしょう。
サボテンの子株に根が出ないのはなぜ?
サボテンの子株になかなか根が出なくてやきもきするということがあるかもしれません。
サボテンの成長は穏やかなので、成長期でも他の植物たちのように数日間で一気に成長するという事は稀になります。
発根に関しても同様で、子株が出やすいロフォフォラ属やマミラリア属の子株でもしっかりした根が出るまでに数か月以上かかることもあります。
親株から外して数か月以上経っても子株から根が出ないときは、成長期でないか置き場所が悪いかのどちらかです。
親株から子株を取り外すときは、成長期に作業を行うようにしましょう。
また、あまりに暗く寒い場所に置いても根が出にくくなります。暖かく明るい日陰などに置き場所を変えてみましょう。
より早く根を出させたい場合は、ネメデール等の活力剤や、発根促進剤を使うのも手です。
サボテンの子株の育て方は、基本的に親株の育て方と同じです。
子株が出来ているということは、サボテンが順調に大きく育っているということ。
子株を育てて、お気に入りのサボテンを気軽に増やしてみるのはいかがでしょうか。