取引先の相手や目上の人に手土産を渡す場面、失礼がないようにすごく気を配りますよね。
タイミングや何と言って渡すか、渡し場所の雰囲気なども考えて…など、急には対処しづらいものです。
「いつもお世話になっております」などと言いながら気軽に渡せる相手だったらいいのですが、改まった場所で改まった相手になると、どうしてもしっかりした作法を知っておきたいですよね。
そこで、改まった場所での手土産の渡し方、特に「和室」での作法についてご紹介します。
和室の上座と下座について
ビジネスマナーなどでよく登場する上座と下座。和室で手土産を渡す場合も、この上座と下座を意識することが大切です。
和室の中での上座は、「床の間」に近い場所のことを指します。部屋に通されたら、まずは床の間が部屋の中のどの位置にあるのかを確認しましょう。
実は私の家もそうなっているのですが、和室によっては入ってすぐの場所に床の間があったりするので、そのときは部屋の奥のほうまで進んで、相手が上座の方に来るように配慮することが大切です。
また、手土産は下座により近い方に置くのが正しいマナーになっています。
相手が上座の方に落ち着いたら、次は「座礼」の手順です。
正しい姿勢で美しく!座礼の手順
日本では挨拶をするとき、立ったまま頭を下げてする「立礼」と、座ってする「座礼」の二つがあります。
和室の場合は「座礼」をするのがマナーですが、キチンとした所作で行うことで相手に好印象を与えられます。
手順としてまず、
・しっかり相手の目をみる
・両手の指を揃えて、膝の前にキレイに寄せる
・腰から上半身を折るようにして、静かに頭を下げる
・三秒ほどゆっくり数えて、静かに頭を上げる
下げる高さの目安は大体畳から15cmから20cmぐらいですが、相手との親密さによって少し異なります。
このとき、慌てずにゆっくり、キチンとした動きで礼をすることが大切です。
あまりに深く頭を下げ過ぎたり、勢いをつけすぎると、相手を驚かせてしまったりしてしまうため、落ち着いて美しい座礼を心がけましょう。
玄関でも挨拶はすると思いますが、一番大切なのはここでの挨拶なので、決しておろそかにしないように注意してください。
また、相手が座布団を用意してくれていることがあるかもしれません。
そのときはすぐには座布団に座らずに、畳の上で座礼をしてから、相手にひとことお礼を言ってから座ると良いと思います。
挨拶をしっかりと済ませたら、いよいよ手土産を渡す番です。
渡すときの作法について
手土産の持参方法にも、紙袋に入っていたり風呂敷に包んであったりと、様々なものがあると思いますが、どちらの場合でも正しい手順を踏んで相手に手渡しましょう。
順を追って説明するとまず、
・自分の隣など相手の正面ではないところで、風呂敷を開きます
(紙袋の際は袋から取り出します)
・中から品物を取り出したら、風呂敷(紙袋)をたたみます
・取り出した品物を、自分の正面に置きます
・品物の正面が相手の方に向くように方向を変えます
・口上を述べてから、両手で品物を持ち、相手に手渡します
このとき気を付けなければいけないことは、次の通りです。
・風呂敷や紙袋のまま渡さないこと
・畳の上を滑らせるようにして手渡さないこと
・品物を持ち上げる高さは胸の前あたりから肩のあたりまでにすること
ついやってしまいがちなことも悪いマナーとなってしまうので、注意が必要です。
しっかりとした手順で品物を手渡せば、相手も丁寧に受け取ってくれるはずですよ!
まとめ
上座と下座について
・和室の中での上座は「床の間」に近い場所のこと
・手土産は下座により近い方に置く
座礼について
・きちんとした手順で正しい座礼を行うことで、相手に好印象を与える
・ざぶとんがある場合は一言お礼を言ってから座る
手土産を渡すとき
・正しい手順を踏んで手渡す
・風呂敷や紙袋など、何に包まれているかに注意する
たくさんの細かい手順がありますが、その前にもっとも大切なことは、相手に対し心を込めて手土産を渡すということです。
いくら丁寧な所作で手土産を渡しても、心がこもっていなければ、そのあとの関係もあまりいいものになるとは考えられません。
手土産を渡すときの自分自身の態度は、相手があなたに抱く印象と言っていいでしょう。
しっかりとした態度で手渡せば、相手に良い印象を与えることができます。
気持ちのこもった丁寧な所作で手土産を手渡して、相手とより良い関係を築きましょう!